インプラントブログ

2012年5月16日 水曜日

こんなに細かくたいへんな治療です!

Q歯根の治療って、じつはすごく難しいんだそうですね。なぜですか?
A小さな歯の、極細の神経のなかで暴れている細菌を、歯を傷めないように細心の注意を払い、しっかりと除去する治療だからです。神経といっても、形や太さは人それぞれ。曲がったり、ねじれたり、枝分かれしていて歯科医師をおおいに手こずらせます。
みなさんは「根歯の治療」を受けたことがありますか?
神経を抜いたことがある方なら、この治療を受けたことがあるはずです。私たちはこの治療を抜髄治療(神経を抜く治療)とか、根管治療(歯根のなかの神経を通る管を掃除する治療)と呼び、これらを総称して歯内療法といっています。神経まで届く、深刻なむし歯の治療法として、広く一般的に行われている治療法です。
ところが、ご質問にもあるとおり、こうした治療は、じつは神経外科に匹敵するような高度な技術が要求されるたいへん難しいものなのです。このことは、欧米はもちろん、アジア諸国でもよく知られていることで、通常の場合、歯内療法の専門家が行うたいへん高価な治療として認識されています。
ところが、残念ながら日本ではこの治療の難しさはあまり知られていません。日本では、ちょっと削って詰める小さなむし歯も、根管治療が必要になった深刻なむし歯も、健康保険の制度のもと、誰もが手ごろな治療費で治療を受けることができます。そのこと自体はとても良いことなのですが、そのためなのか、「歯根の治療とはとても難しくたいへんな治療だ」という実際の治療内容についての理解はなかなか進んでいないのが現状ではないでしょうか。たいへん残念なことだと思います。
そこでこれから、「どれくらいたいへんなのか」についてお話ししていきましょう。
歯は、とくに奥歯になるほど、噛む力を支えるために2本、3本の根をもっています。この根は、患者さんごとにひとつずつ形も大きさも異なり、曲がっていたり、ねじれていたりします。そしてそのなかには神経が通っていますが、この神経の通っている根管の4本5本と枝分かれしたり、曲がったりねじれたりして複雑な形状をしています。私たち歯科医師は、複雑な形状でしかも直接目で見ることのできない根管の奥の奥まで掃除をしなければなりません。これはたいへん困難な仕事です。
歯の内部に侵入した細菌は、神経や象牙質ごと細菌をきれいに取り除き、消毒して殺菌し、詰め物をしてしっかりと封をします。ここの治療が成功すれば、いちどは奥深くまで細菌に侵されてしまった歯を、保存して再び使い続けることができるのです。自分の歯を失わずに使い続けるための「最後の手段」として、患者さんにとってとっても切実な治療です。
細い根管を掃除するには、ファイルという極細の金属の器具を使います。ファイルにはヤスリのような刃が付いていて、これで曲がりねじれる根管を細心の注意を払いながら掃除していきます。コンマ2ミリ、コンマ3ミリの治療で、ファイルのサイズには直径0.06ミリのものすらあるのですから、いかに繊細な治療かがお分かりいただけるのではないかと思います。現在では、顕微鏡を使って歯の根管の入り口をのぞきながら、CT、エックス線画像を参考にして確認するハイテク歯内療法が徐々に日本にも導入されてきてはいます。しかし保険治療をご提供しながら超高価なハイテク器機の設備を導入することはコスト的にまったく不可能だという事情もあり、ほとんどの歯科医院では、患者さんの歯を残す「最後の手段」としての歯内療法を、経験と、鍛え上げた腕で、チクチク、コツコツと行っているのです。

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